![]() 午前中、俺が仕事でテンパっているところに電話が入った、妻からだった。 「洗濯機こわれた〜」 「えっ………いっ今、忙しいからかけ直す!!」 俺は乱暴に電話を切ったが、汚しざかりの息子がいる主婦には、 待った無しの非常事態なんだなと思いつつ、途方に暮れる妻の姿が チラチラよぎって、すぐ電話をかけ直した。 「ああ、どんな状態なん?」 「それが、電源のボタン押してもウンともスンとも…」 「動かんのか…よっしゃ帰ったら見てみるわ」 わが家の洗濯機は買ってから相当経つが、色んな賢い機能付で 当時は結構値がはった。しかもナショナル製。 「きっとパネルボタンの単純な接触不良か何かだろう」 午後、再び電話が入る。 「今、ミドリ電機やけど、チラシの格安洗濯機が売り切れで…」 「みっミドリ……だから帰ったら見るって言ってるやん!!」 「あんた直せるん?」 「それは分からんけどナショナルは長持ちやからな」 「でもお…洗濯物があ…」 「う〜ン、それやったら修理たのみ、そこで買ったんやし、 まだ使えるってナショナルやし」 「保証期間とっくに過ぎてるし」 「…あのね、帰ったら俺が見てみるから、今日のところはコインランドリーで」 「めっちゃ遠いし…」 「そんな、ちょっと故障したくらいで、すぐ買い替えるって、どうなんかなあ!!」 「でえもお〜」 その時俺に名案が浮んだ。 「そうや、内田さんに電話して来てもらえ」 内田さんはご近所の電気屋さんで、 引越して来た時、エアコンを3台買った事を思い出した。 今は、量販店の方が安いので疎遠になっていた。 その日の夜、家に帰り着いた俺は早速「内田さん来てくれたんか?」と妻に聞いた。 「うん、来てくれたけど、もう寿命やって言いはって…」 「何い〜寿命やと!!ナショナルやぞ!! ウ〜ンウ〜ン!!ネジ回し持って来い!!」 俺は洗濯機に直行し、マイナスドライバーでパネルカバーをめくった。 予想通り電源ボタンのキャップのようなものがズレていただけだった。 「はいっ直りました」修理時間30秒。 「うっそ〜!!」と妻が電源を入れたり切ったり。 「ええっ洗濯機直ったん、父ちゃんスゴすぎ!!」と息子。 俺は鼻高々に「腹へったメシ〜食わせ〜!!」と言った。 食卓テーブルの上に数社の洗濯機のカタログ…。 その中の一冊、サンヨーに附箋が…。 「内田さんが置いていってん」 「で注文したん?」 「在庫と納品日調べて明日また来るって…」 スイッチの接触不良だけで寿命とぬかす電気屋と、 ものを大切に使う事を忘れてしまった現代人と大量消費経済に、 憤りとやるせなさを感じながら、俺は妻にぽつりと言った。 「家電はナショナルがええよ…」 FrogsCafe topにもどる # by ainogekijyo | 2010-10-26 08:01
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